新NISAの積立投資を安心して続けるために!知っておくべきリスクと具体的な対策
新NISAの制度を活用した積立投資は、多くの方にとって資産形成の有効な手段として注目されています。毎月決まった金額をコツコツと投資することで、感情に左右されずに長期的な視点で資産を増やすことが期待できます。しかし、積立投資にも全くリスクがないわけではありません。
投資を始める際に「怖い」「損する」といった不安を感じる方は少なくありませんが、これはリスクについて漠然としたイメージしか持てていないことが原因となる場合が多いものです。リスクを正しく理解し、それに対する具体的な対策を知ることで、不安は安心へと変わり、自信を持って投資に取り組むことができるようになります。
この記事では、新NISAの積立投資で考えられる主なリスクと、それぞれの具体的な対策について、初心者の方にも分かりやすい言葉で解説します。
積立投資とは?そのメリットと潜むリスクの可能性
積立投資は、毎月一定額を継続的に投資する方法です。これにより、価格が高い時には少なく、価格が低い時には多く購入することになり、長期的に見ると平均購入単価を抑える効果(ドルコスト平均法)が期待できます。新NISAの非課税投資枠を有効に活用できるため、多くの投資家がこの方法を選んでいます。
しかし、積立投資といえども、資産の価値が変動する可能性は常にあります。これからご紹介するリスクは、積立投資を行う上で知っておくべき重要な要素です。
新NISAの積立投資で知っておくべき主なリスクと対策
1. 市場変動リスク
市場変動リスクとは、株式や投資信託などの価格が、政治経済の状況や企業の業績、世界情勢などさまざまな要因によって変動し、元本割れを起こす可能性があるリスクです。積立投資はドルコスト平均法によりこのリスクを軽減する効果がありますが、それでも一時的に評価額が購入価格を下回ることはあり得ます。
- 具体的な対策
- 長期投資の継続: 短期的な価格変動に一喜一憂せず、数年〜数十年の長い期間で投資を続けることで、市場全体の成長の恩恵を受けやすくなります。一時的な下落局面でも積立を継続することで、平均購入単価をさらに引き下げる機会と捉えられます。
- 分散投資の徹底: 複数の種類の資産(例:国内外の株式、債券、不動産投信など)や地域に分散して投資することで、特定の資産や地域のリスクが全体に与える影響を軽減できます。新NISAで選べる投資信託の多くは、すでに多くの銘柄に分散投資されているため、初心者の方でも手軽に分散効果を得られます。
- 資産配分の見直し: ご自身の年齢、ライフステージ、リスク許容度に合わせて、定期的に資産の構成を見直しましょう。例えば、若い頃はリスクを取れる資産の割合を高くし、老後に近づくにつれて安定性の高い資産の割合を増やすといった方法があります。
2. インフレリスク
インフレリスクとは、物価が上昇することにより、現在持っているお金や資産の「実質的な価値」が将来的に目減りしてしまうリスクです。例えば、100万円で買えたものが、インフレが進むと120万円必要になる場合、預貯金で100万円を持っていても、実質的には購買力が低下してしまいます。
- 具体的な対策
- インフレに強い資産への投資: 物価の上昇に合わせて価値も上昇しやすいとされる株式や不動産投信(REIT)などに投資することで、資産の実質的な価値の目減りを防ぐ効果が期待できます。
- 新NISAの活用: 新NISAで運用益が非課税になることで、インフレによって生じた利益が税金でさらに目減りすることを防ぎ、効率的に資産を増やせる可能性があります。積立投資を継続することで、インフレ下の物価上昇に合わせて投資額も増えていくため、自然とインフレ対策にも繋がることがあります。
3. 為替変動リスク
為替変動リスクとは、外国の通貨と日本円の交換レート(為替レート)が変動することにより、外貨建て資産の円換算価値が変動するリスクです。新NISAで積立投資を行う投資信託の中には、アメリカやヨーロッパなど海外の株式や債券に投資するものも多く、その場合、為替変動の影響を受ける可能性があります。
- 具体的な対策
- 国際分散投資: 日本円建ての資産だけでなく、様々な国の通貨建ての資産に投資することで、特定の通貨の変動リスクを分散できます。
- 為替ヘッジ付き商品の検討: 為替変動の影響を軽減するための「為替ヘッジ」機能を持つ投資信託もあります。ただし、為替ヘッジにはコストがかかるため、その費用も考慮して選ぶ必要があります。
- 円資産とのバランス: 日本円で保有する預貯金などとのバランスも考慮し、資産全体として特定の通貨に偏りすぎないように調整することが大切です。
4. 銘柄選定リスク
銘柄選定リスクとは、個別の株式や特定の投資信託が、企業の業績悪化やファンドの運用成績不振などにより、期待した成果が得られない、あるいは価値が大きく下落するリスクです。特に、新NISAの成長投資枠で個別株を選ぶ場合や、特定のテーマ型投資信託に集中投資する場合に顕著になります。
- 具体的な対策
- 投資信託の活用: 個別銘柄の選定は専門知識が必要となるため、複数の銘柄に分散投資されている投資信託を活用することが初心者にはおすすめです。特に「全世界株式」や「全米株式」といった幅広い指数に連動する投資信託は、銘柄選定リスクを大きく軽減できます。
- インデックスファンドの選択: 特定の市場指数(例:日経平均株価、S&P500など)に連動することを目指すインデックスファンドは、プロのファンドマネージャーが銘柄を選定するアクティブファンドに比べて運用コストが低く、安定した成果が期待できます。
- 定期的な見直し: 投資している投資信託が、当初の投資方針とズレていないか、あるいは運用成績が著しく悪い場合などには、定期的に見直しを検討することも重要です。
リスクを理解し、安心感を高めるための心構え
投資におけるリスクは、避けるべきものではなく、正しく理解し、適切に管理すべきものです。新NISAの積立投資を始める上で大切なのは、次の心構えです。
- 無理のない範囲で投資を始める: 生活防衛資金(半年〜1年分の生活費)を確保した上で、余剰資金を使って積立投資を始めましょう。急な出費で投資を中断したり、無理な金額を投資して精神的に追い込まれたりすることは避けるべきです。
- 長期的な視点を持つ: 短期的な市場の動きに一喜一憂せず、数年〜数十年のスパンで資産形成を目指す意識が重要です。歴史的に見ても、長期投資は市場変動リスクを和らげ、資産を成長させてきた実績があります。
- 情報を収集し、学び続ける: 投資に関する情報は日々更新されます。信頼できる情報源から学び続け、ご自身の知識を深めることで、より適切な判断ができるようになります。
まとめ
新NISAの積立投資は、非課税メリットを享受しながら、長期的に資産を形成するための優れた手段です。市場変動リスク、インフレリスク、為替変動リスク、銘柄選定リスクなど、いくつかのリスクが存在しますが、これらは「長期・国際分散・積立」といった基本的な対策を講じることで、大きく軽減することが可能です。
リスクを「怖いもの」と捉えるのではなく、「事前に理解し、適切に対処できるもの」と考えることが、投資における安心感へと繋がります。ご自身のライフプランに合った積立投資を継続し、明るい未来の資産形成を着実に進めていきましょう。